
「保証協会付きの融資を勧められたが、保証料を払って何が保証されるのか」「責任共有制度とは何か」。結論から言うと、信用保証協会の保証付き融資は、会社が金融機関から借りるお金について、信用保証協会が保証人になる仕組みです。会社は保証の対価として信用保証料を払いますが、これは保険料ではありません。返せなくなって協会が代わりに払った(代位弁済した)あとは、会社が協会に返していくことになります。また、多くの保証は「責任共有制度」の対象で、原則として協会が80%、金融機関が残りを負担します。この記事では、法人・会社向け借金再生コンサルティングのオフィスレナセルが、信用保証協会法・中小企業信用保険法と、全国信用保証協会連合会・東京信用保証協会の公表資料をもとに、保証付き融資の仕組みと、場面に応じた制度の選び方を整理します(2026年10月時点の公表資料にもとづきます)。
信用保証協会とは?信用保証協会法にもとづく公的機関
信用保証協会は、信用保証協会法(昭和28年法律第196号)にもとづく法人です。同法第1条は、中小企業者等が金融機関から貸付等を受けるときにその債務を保証することを主たる業務とする信用保証協会の制度を確立し、中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的に掲げています。全国信用保証協会連合会によると、協会は47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、それぞれの地域で業務を行っています。
保証付き融資の当事者は、基本的に中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の三者です。会社は協会に保証を申し込み、協会が保証を承諾すると、金融機関から融資が実行されます。なお、同法第20条第2項は、保証の業務の遂行を妨げない限度で、保証先の中小企業者に対する経営の改善発達に係る助言その他の支援も協会の業務として定めています。協会は「保証するだけの機関」ではなく、経営支援の窓口にもなり得ます。
保証を支える「信用補完制度」
協会の保証は、国が出資する日本政策金融公庫の「信用保険」と結びついています。全国信用保証協会連合会の説明では、信用保証協会が金融機関に対して中小企業の債務を保証する信用保証制度と、これを日本政策金融公庫が再保険する信用保険制度が連結した仕組みを「信用補完制度」と呼びます。会社が返済できず協会が代位弁済すると、協会は代位弁済額の70〜90%を保険金として公庫から受け取ります(この率を保険填補率といいます)。
保証料を払っても、借金がなくなるわけではない
保証付き融資で誤解されやすいのがこの点です。全国信用保証協会連合会は、信用保証料は信用保証の委託に応ずる対価であり、中小企業信用保険の保険料や経費等に充てるものだとしたうえで、「信用保証料」は保険料ではないこと、そのため代位弁済が行われた後は協会へ弁済することになると明記しています。
つまり、代位弁済が行われても、借金そのものが消えるわけではありません。協会が代わりに払った部分については、債権者が金融機関から信用保証協会に代わり、協会は会社(と保証人)に対して「求償権」を持つことになります。また、後述する責任共有制度の部分保証方式の保証では、協会が保証するのは貸付金の80%なので、保証の付いていない残りの部分は、代位弁済のあとも金融機関の債権として残ります。代位弁済のあとの返済の進め方や、保証協会サービサーとのやりとりは、信用保証協会付き融資の返済が苦しいときの選択肢|代位弁済と求償権で解説しています。
責任共有制度とは?協会80%・金融機関が残りを負担
全国信用保証協会連合会の沿革によると、責任共有制度は2007年10月に導入されました。東京信用保証協会は、従来は原則100%保証だった保証付融資について、一部の保証を除き金融機関が一定のリスクを負担する仕組みにした制度だと説明しています。制度の目的は、協会と金融機関が適切に責任を分け合い、連携して、融資の実行とその後の経営支援・再生支援を行うことにあるとされています。
▶ 2つの方式
金融機関は次のどちらかの方式を選びます(全国信用保証協会連合会の説明による)。
- 部分保証方式:個別の貸付金の80%(一部の保証を除く)を協会が保証する
- 負担金方式:保証時点では100%保証だが、代位弁済の状況に応じて金融機関が協会に負担金を支払い、部分保証と同等の負担を負う
▶ 対象外になる主な保証
原則すべての保証が責任共有制度の対象ですが、例外として除外される制度があります。全国信用保証協会連合会が挙げているものには、経営安定関連保証(セーフティネット保証)1号〜4号・6号、災害関係保証、創業関連保証、小口零細企業保証、求償権消滅保証、危機関連保証などがあります。
経営者の目線で言えば、責任共有制度の対象となる保証付き融資では、金融機関も自らリスクの一部を負っているということです。そのため、保証付き融資であっても、金融機関は決算や資金繰りの状況を見ながら判断します。日頃から試算表や資金繰り表を出して状況を共有しておくことが、追加の相談や条件変更の相談をしやすくする土台になります(銀行への見せ方は資金繰り表の作り方と銀行への見せ方で解説しています)。
保証限度額はいくら?普通保証と無担保保証
協会の保証が付けられる金額(保証限度額)は、協会の保証を公庫が保険する「信用保険」について中小企業信用保険法が定める上限が基準になっています。同法第3条第1項は普通保険の保険価額の合計額を中小企業者1人について2億円(中小企業等協同組合など同項に定める組合は4億円)まで、第3条の2第1項は担保を提供させない無担保保険を8,000万円までと定めています。全国信用保証協会連合会の案内でも、借換保証の保証限度額は一般保証で2億8,000万円(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)とされています。
このほか、後述するセーフティネット保証や危機関連保証は、一般の保証とは別枠で、それぞれ普通保証2億円、無担保保証8,000万円が保証限度額とされています(同法第12条・第15条の特例による)。
なお、小規模企業者向けの小口零細企業保証制度は、既存の保証付融資残高と合計して2,000万円以内が保証限度額です(全国信用保証協会連合会の案内による)。いずれの限度額も、すでに受けている保証付き融資の残高を含めた上限で、この金額まで保証が受けられることを意味するものではありません。保証の可否と金額は、協会と金融機関の審査で決まります。
信用保証料はどう決まる?9区分の料率と計算方法
全国信用保証協会連合会によると、信用保証料の料率は、中小企業・小規模事業者の経営状況に応じた9つの料率区分から適用されます。東京信用保証協会は、中小企業信用リスク情報データベース(CRD)により確定決算の内容を評価して区分を決めると説明しています。つまり、決算の内容が保証料の負担に直結するということです。具体的な料率は、保証制度、責任共有制度の対象かどうか、融資額や担保の有無などで変わるため、この記事では数字を挙げません。各協会の料率表で確認してください。
▶ 計算方法(東京信用保証協会の例)
信用保証料=貸付金額×保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数。分割係数は、分割で返済する場合に、満期一括返済に比べて信用保証料を割り引くための掛目です。保証料は融資実行時に支払うのが原則で、保証期間が2年を超えるものなどは、協会の承認を受けて分割で支払える場合があります。
▶ 割引・割増と返戻
担保の提供がある場合や会計参与設置会社である場合などは割引があり(一部、割引の対象とならない保証制度もあります)、逆に、経営者保証を提供しない「事業者選択型経営者保証非提供制度」を使う場合は割増になります(全国信用保証協会連合会の説明による。この制度は経営者保証は解除できる?既存の保証を外す交渉と2026年4月の監督指針改正で解説しています)。また、東京信用保証協会では、最終約定期限前に保証付融資を完済した場合、規定により信用保証料を一部返戻することがあるとしています。
▶ セーフティネット保証は特別料率
全国信用保証協会連合会によると、経営安定関連保証(セーフティネット保証)など一部の保証制度では、特別料率が適用されます。東京信用保証協会は、セーフティネット保証などの特別な保証には政策的に配慮された一律の料率を適用しているとしたうえで、経営状況が良好な会社の場合、一般保証を使ったほうが信用保証料率が低くなる場合もあるとして、両方のメリットを比べて選ぶよう案内しています。
場面別:使える保証制度の選び方
保証制度は協会ごとに多くの種類がありますが、借入れの相談でよく出てくる場面を、全国信用保証協会連合会の案内に沿って整理します。
取引先の倒産・災害・業況の悪化で経営に支障が出た
「経営安定関連保証(セーフティネット保証)」の対象になる可能性があります。対象は1号〜8号の8種類で、たとえば1号は大型倒産の発生により影響を受けている中小企業者、4号は突発的災害(自然災害等)により影響を受けている特定地域の中小企業者、5号は全国的に業況が悪化している業種に属する中小企業者です。利用するには、本店(個人の場合は主たる事業所)の所在地を管轄する市町村長または特別区長の認定を受ける必要があります(全国信用保証協会連合会の案内による。根拠は中小企業信用保険法第2条第5項)。どの業種・地域が指定されているかは時期によって変わるため、市区町村の担当窓口で確認してください。
大規模な経済危機・災害等で信用収縮が全国的に生じたときの「危機関連保証」もあります。ただし、全国信用保証協会連合会のページでは、現在、認定の対象となる案件はないとされています。
複数の保証付き借入れの返済が重い
「借換保証」は、複数の借入金を1本にまとめて長期で返済することで、毎月の返済額を少なくするための制度です。借り換えの際に新たな資金を上乗せすることも可能とされていますが、事業計画書の作成等が必要になる場合があり、借り換えできる保証制度とそうでないものがあります。返済そのものが難しくなっている段階では、新たな借入れより先に、返済条件の見直しを検討するほうが現実的なこともあります(銀行への返済が苦しくなったら?リスケジュールの仕組みと交渉のポイントを参照)。
経営者保証を付けずに借りたい
先ほどの「事業者選択型経営者保証非提供制度」のように、一定の要件を満たす法人が、保証料の上乗せを条件に経営者保証を提供しないことを選べる制度があります。要件や上乗せ幅は前掲の記事と、取引のある協会の案内で確認してください。
どの場面でも、最終的に保証するかどうか、どの制度が使えるかは、協会と金融機関の判断で決まります。制度の詳しい内容は、取引のある金融機関のほか、お近くの信用保証協会にも問い合わせることができます。資金繰りが厳しいときに最初に何から手を付けるかは、資金繰りが厳しいとき、まず何をすべきか?3つのステップもあわせてご覧ください。
出典:信用保証協会法(昭和28年法律第196号)第1条・第2条・第20条、中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号)第2条第5項・第3条・第3条の2・第12条・第15条(いずれもe-Gov法令検索の現行法令)、全国信用保証協会連合会「信用保証協会と信用保証制度」「信用保証制度を支えるしくみ」「信用保証制度の沿革」「信用保証料」「さまざまな保証制度」「経営に支障が生じている方」「資金繰りの改善をお考えの方」、東京信用保証協会「信用保証料率の体系」「信用保証料について」をもとに、当社で要約・編集して作成しました。
保証付き融資の使い方は、オフィスレナセルにご相談を
保証付き融資は、うまく使えば資金調達の幅を広げる仕組みですが、どの制度を選ぶか、いつ借り換えるか、それとも返済条件の見直しを先にするかで、その後の資金繰りが変わります。「保証協会の枠がどれだけ残っているか分からない」「新たに借りるべきか、条件変更を相談すべきか整理したい」という段階でも構いません。
オフィスレナセルは、法人・会社の借金問題に向き合う事業再生コンサルティングとして、資金繰りの実態把握から経営改善のプランニング、金融機関との対話まで、経営者に伴走してご支援します。なお、法律事務は弁護士が、税務の判断は税理士が担う業務です。当社はその前段の整理と、必要に応じて専門家へつなぐところをお手伝いする立場です。まずはお問い合わせからお気軽にご相談ください。
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の法的・会計的判断を保証するものではありません。保証制度の内容、保証料率、利用条件は信用保証協会ごとに異なり、制度は見直されることがあります。また、保証の可否は信用保証協会と金融機関の審査によって決まります。実際の保証付き融資の利用や借換え・条件変更の検討にあたっては、取引のある金融機関・信用保証協会にご確認いただき、あわせて認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。


