「会社の借金が返せなくなったら、もう破産するしかないのか」──多くの経営者がこう考えがちですが、実はそうではありません。裁判所を通さずに、金融機関との交渉で債務の返済猶予や減免を受ける「私的整理」という方法があります。法的整理(破産・民事再生・会社更生)とは異なり、取引先に知られずに進められるのが最大の特徴です。この記事では、私的整理の仕組みと種類、法的整理との違いをわかりやすく解説します。
私的整理とは|法的整理との根本的な違い
私的整理とは、破産・民事再生・会社更生・特別清算といった法律で定められた手続(法的整理)を使わずに、債務者と債権者の合意に基づいて債務を整理する方法です。法的整理が裁判所の関与のもとで進められるのに対し、私的整理は裁判外の交渉で進めるのが基本です。
対象は金融機関の借入金のみ
私的整理の最大の特徴は、対象となる債権者を金融機関に限定できる点です。法的整理では仕入先・外注先・従業員を含むすべての債権者が手続に巻き込まれますが、私的整理では銀行や信用金庫などの金融機関だけを交渉相手にし、取引先への支払いは平常通り続けます。これにより、仕入先との取引関係や信用を維持したまま、借金の問題だけを解決できる可能性があります。
非公開で進められる
法的整理の申立ては裁判所を通じて公になるため、「あの会社は倒産した」と取引先や世間に知られるリスクがあります。一方、私的整理は非公開で進行するため、取引先・従業員・取引先の信用情報に影響を及ぼさずに債務問題に取り組めます。事業の価値を毀損せずに再建を図る上で、この非公開性は非常に大きなメリットです。
中小企業が使える私的整理の種類
私的整理は大きく分けて、当事者だけで進める「純粋私的整理」と、第三者機関が関与する「準則型私的整理」の2つがあります。中小企業の再生で実際によく使われるのは以下の手続です。
▶ 中小企業版私的整理手続
2022年4月に適用が開始された「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく手続です。中小企業を対象に、第三者支援専門家(弁護士・公認会計士等)が関与して事業再生計画を策定し、対象債権者全員の同意を得て債務の返済猶予・減免を受けます。経営者の退任が必須ではなく、中小企業の実態に配慮した基準が設けられているのが特徴です。
▶ 中小企業活性化協議会による支援
各都道府県に設置されている中小企業活性化協議会(旧・中小企業再生支援協議会)が債務者と金融機関の間に入り、再生計画の策定を支援する制度です。公的機関が関与するため金融機関からの信頼性が高く、中小企業の私的整理では最も利用実績の多い手続のひとつです。
▶ 事業再生ADR
事業再生実務家協会が運営する裁判外紛争解決手続(ADR)です。規模の大きい企業向けの制度ですが、中小企業が利用するケースもあります。
▶ 純粋私的整理(任意整理)
第三者機関を介さず、債務者と金融機関が直接交渉して合意を形成する方法です。手続が柔軟な反面、合意に達するために専門家(弁護士やコンサルタント)の支援が事実上必要になります。会社の借金問題を専門家に相談することの意味については「再生」という選択肢の記事もご覧ください。
私的整理のメリットとデメリット
メリット
▶ 取引先に知られずに進められる
金融機関のみを対象とし、非公開で手続が進むため、取引先との関係を維持できます。
▶ 事業を続けながら借金を整理できる
再生型の私的整理では、事業の継続を前提に返済計画を策定します。破産のように会社が消滅するわけではありません。
▶ 経営者が退任しなくてよい場合がある
中小企業版私的整理手続では、経営者の退任を必須としていません。経営者保証についても「経営者保証に関するガイドライン」を活用して、主債務と一体的に整理する道が開かれています。
デメリット
▶ 対象債権者全員の同意が必要
法的整理のように多数決で強制できないため、1社でも反対すれば成立しません。そのため、事業再生計画の実現可能性を金融機関に納得してもらう説得力が求められます。
▶ 専門家の支援が事実上不可欠
計画の策定・金融機関との交渉には、弁護士・公認会計士・コンサルタント等の専門家の関与が必要です。費用は発生しますが、中小企業版私的整理手続には費用補助制度もあります。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については、弁護士等の専門家にご相談ください。
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