事業譲渡で借金を整理する|M&Aによる事業再生の選択肢と流れ

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「借金が膨らんで返済の見通しが立たない。でも、事業そのものはまだ価値がある。このまま廃業するのはもったいない」──そうお考えの経営者の方は少なくありません。

こうしたケースで検討に値する選択肢のひとつが、M&Aを活用した事業譲渡による再生です。会社の借金を旧会社に残したまま、事業価値のある部分だけをスポンサー企業(買受人)に譲渡することで、従業員の雇用・ブランド・取引先との関係を守りながら会社を存続させる道が開ける場合があります。

本記事では、M&Aによる事業再生の仕組み、会社法・民事再生法上の手続き、第二会社方式との比較、注意点をまとめます。

M&Aによる事業再生とは

ここで言うM&Aによる事業再生とは、経営難に陥った会社が、自社の事業を第三者(スポンサー企業)に譲渡することで、負債と事業を切り分ける手法です。「スポンサー型M&A」「事業譲渡型再生」などとも呼ばれます。

通常のM&A(株式譲渡)との大きな違いは、株式を売買するのではなく「事業そのもの」を売買する点にあります。株式譲渡では買手が会社の負債も引き受けることになりますが、事業譲渡では原則として指定した事業・資産・従業員・契約のみを譲渡し、借金(負債)は旧会社に残ります

スポンサー型事業譲渡の大まかな流れ

  1. 弁護士・コンサルタントがスポンサー候補を探索(入札・相対交渉)
  2. 候補先と秘密保持契約(NDA)を締結し、デューデリジェンス(DD)を実施
  3. 事業譲渡の条件(譲渡対価・引継ぎ範囲・雇用条件)を交渉・合意
  4. 必要な手続き(裁判所の許可・株主総会決議)を経て事業譲渡契約を締結
  5. 旧会社は残った負債を整理(破産・特別清算・私的整理など)

会社法・民事再生法上の手続き

通常時(民事再生手続を使わない場合):会社法第467条

民事再生手続きを申請していない状態での事業譲渡は、会社法第467条に基づき、事業の全部または重要な一部を譲渡する場合には株主総会の特別決議が必要です。特別決議は「出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成」が要件です。ただし、簡易事業譲渡(譲渡資産の帳簿価額が総資産額の5分の1以下)や略式事業譲渡(譲受側が議決権の90%以上を保有)に該当する場合は、例外的に株主総会を省略できます。

民事再生手続中:民事再生法第42条・第43条

民事再生手続きを申請した後に事業譲渡を行う場合は、民事再生法第42条により、裁判所の事前許可が必要になります。再生計画の認可を待たずに事業を譲渡する「計画外事業譲渡」(スポンサー型)は、この裁判所の許可をもって行うもので、事業価値が劣化する前に迅速に実行できる点が特徴です。

また、会社が債務超過の場合は、本来必要な株主総会の特別決議が形骸化するため、民事再生法第43条により、株主総会決議に代わる「代替許可」を裁判所から取得して手続きを進めることができます。東京地裁の実務では、許可申請からおおむね2週間後に債権者の意見聴取期日が設定されます。

第二会社方式との違い

M&Aによるスポンサー型事業譲渡と混同されやすいのが「第二会社方式」です。両者はいずれも「借金を旧会社に残して事業を移す」点で共通しますが、以下の点で異なります。

項目 スポンサー型M&A 第二会社方式
事業の移転先 外部スポンサー企業 新たに設立した自社グループ会社
資金の調達 スポンサーから譲渡対価を受領 自己資金・融資が必要
経営権 スポンサーに移る 経営者が継続保持できる
適した状況 事業価値はあるが資金難・後継者不足 経営者自身が事業を継続したい

どちらの手法が適しているかは、経営者が今後も経営に携わりたいか、外部から資金を得る必要があるか、銀行や債権者との交渉状況などによって異なります。

メリットと主な注意点

メリット

  • 従業員の雇用継続:事業ごと譲渡するため、雇用を守りやすい
  • 取引先・ブランドの維持:顧客・仕入先との関係を引き継ぎやすい
  • スポンサーから対価が得られる:旧会社の負債返済に充当できる
  • 迅速な実行が可能:計画外事業譲渡であれば再生計画認可前に着手できる

注意点

  • 個別の契約・許認可は原則として新会社での再取得・相手方の同意が必要(株式譲渡と異なり自動承継されない)
  • スポンサー探索には時間と専門的なネットワークが必要
  • 適切な事業価値評価なしに低廉な価格で譲渡すると、詐害行為として否認される可能性がある
  • 民事再生申請とセットで進める場合は弁護士・専門家との連携が不可欠

詐害行為や偏頗行為(特定の債権者だけを優遇する行為)に当たらないためには、適正な手続きと価格設定が不可欠です。また民事再生法による手続きと私的整理の違いについては「民事再生と破産の違い」もあわせてご参照ください。

まず現状の整理から始めましょう

M&Aによる事業再生は、すべての会社に適した手段ではありませんが、「事業価値はあるが借金が重すぎる」状況では、廃業や破産よりも優れた結果をもたらす場合があります。

オフィスレナセルでは、スポンサー探索・事業価値の整理・銀行・債権者との交渉サポートまで、事業再生に向けた一連の支援を行っています。M&Aによる再生が自社に合うかどうかを含め、まずは現状を整理するところからご相談ください。

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【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の法的・会計的判断を保証するものではありません。実際のM&Aによる事業再生・事業譲渡の手続きにあたっては、必ず認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。