連帯保証人の責任はどこまで?家族への影響と相続を解説

オフィスレナセル

 

会社の借金で連帯保証人になっている経営者の方から、「連帯保証人の責任はどこまで及ぶのか」「自分にもしものことがあったら家族に迷惑がかかるのか」というご相談を多くいただきます。結論からお伝えすると、連帯保証人は通常の保証人より重い責任を負い、その地位は相続の対象にもなります。一方で、2020年4月の民法改正により個人保証人を守るルールも整備されました。本記事では、事業再生コンサルのオフィスレナセルが、連帯保証人の責任範囲と家族への影響を、民法の条文を根拠に整理して解説します。

連帯保証人と通常の保証人は何が違うのか

「保証人」と「連帯保証人」は似た言葉ですが、法律上の責任の重さが大きく異なります。通常の保証人に認められている次の3つの権利が、連帯保証人には認められていません。とくに催告の抗弁権・検索の抗弁権は、民法第454条で明確に否定されています。

① 催告の抗弁権がない(民法452条)

通常の保証人は、債権者から請求を受けたとき「まず主たる債務者(会社)に請求してください」と主張できます(催告の抗弁権)。しかし連帯保証人にはこの権利がなく、債権者はいきなり連帯保証人に全額を請求できます。

② 検索の抗弁権がない(民法453条)

通常の保証人は「主たる債務者に返済できる財産があるので、まずそちらを差し押さえてください」と主張できます(検索の抗弁権)。連帯保証人にはこの権利もないため、会社に資産が残っていても、連帯保証人が支払いを求められます。

③ 分別の利益がない

保証人が複数いる場合、通常の保証人は頭数で割った金額だけ負担すれば足ります(民法第456条が準用する第427条による「分別の利益」)。しかし連帯保証人は、保証人が何人いても、それぞれが債務の全額について責任を負います。

つまり連帯保証人は、主たる債務者(会社)とほぼ同じ立場で全額の返済義務を負うことになります。これが「連帯保証人の責任は重い」と言われる理由です。

連帯保証人の責任はどこまで及ぶのか

連帯保証人が負う責任は、原則として主たる債務の元本だけでなく、利息・遅延損害金・違約金など、契約で定められた範囲全体に及びます(民法447条)。会社が返済できなくなれば、その全額が連帯保証人に請求される可能性があります。

支払いができない場合、連帯保証人個人の財産(預貯金・不動産・給与など)が差し押さえの対象になることもあります。会社の借金に経営者個人が連帯保証している場合の自宅・資産の扱いについては、会社の借金に個人保証がある場合、自宅や資産はどうなる?でも詳しく解説しています。

家族(配偶者・子)に影響はあるのか

「連帯保証人になると家族にも返済義務が及ぶのか」という不安をよく耳にしますが、ここは正確に理解しておく必要があります。

家族が保証契約をしていなければ、原則として返済義務はない

連帯保証はあくまで契約です。配偶者や子どもが、その借入について自ら連帯保証契約を結んでいない限り、家族が直接の返済義務を負うことは原則としてありません。「家族だから自動的に支払う義務がある」というものではありません。

ただし「相続」では話が変わる

連帯保証人本人が亡くなった場合、その連帯保証人としての地位(保証債務)は相続財産として相続人に引き継がれます。民法第896条は「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めており、保証債務もこの「義務」に含まれるためです。

つまり、連帯保証人だった方が亡くなると、配偶者や子どもなどの相続人が、法定相続分に応じてその保証債務を引き継ぐ可能性があります。

連帯保証債務を相続したくないときの選択肢

相続によって連帯保証債務を引き継ぎたくない場合、「相続放棄」という方法があります。相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったものとして扱われ、プラスの財産もマイナスの債務(連帯保証債務を含む)もすべて引き継がないことになります。

▶ 相続放棄の注意点
・原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法第915条)
・プラスの財産も放棄することになるため、慎重な判断が必要です
・相続人自身がもともと連帯保証人になっている場合、相続放棄をしても自分自身の保証債務は残ります

連帯保証債務があるかどうかわからないまま相続が開始することもあるため、被相続人に事業の借入や保証があった場合は、早めに契約関係を確認することが大切です。

2020年民法改正で個人保証人の保護が強化された

かつては安易に連帯保証人になって過大な責任を負うケースが社会問題となり、2020年4月1日施行の改正民法で、個人を保護するルールが整備されました。

個人根保証契約の極度額の定めが必須に(民法465条の2)

一定の範囲の不特定の債務を保証する「個人の根保証契約」では、保証人が負担する上限額である「極度額」を定めなければ契約が無効になりました。上限が青天井だった従来のリスクに歯止めがかけられた形です。

事業用融資の第三者保証には公正証書が必要(民法465条の6)

事業のための融資について、経営者などではない第三者が個人で保証人になる場合、契約締結前1か月以内に、公証人が本人の保証意思を確認して作成する「保証意思宣明公正証書」がなければ、保証契約は効力を生じないとされました。第三者が安易に保証人になることを防ぐための仕組みです。

経営者保証ガイドラインの活用

中小企業の経営者個人による連帯保証については、全国銀行協会と日本商工会議所が策定した「経営者保証に関するガイドライン」(平成25年12月公表・平成26年2月適用開始)があります。法人と個人の資産・経理が明確に分離されているなど一定の条件を満たせば、経営者保証を求めない融資や、保証債務の整理時に一定の生活費等を残すことが検討される枠組みです。

連帯保証や事業再生でお悩みなら早めのご相談を

連帯保証人の責任は重く、放置すれば個人の財産や家族の相続にまで影響が及びます。一方で、経営者保証ガイドラインの活用や事業再生の手法を組み合わせることで、会社と経営者個人の生活の双方を守れる道が残されているケースは少なくありません。大切なのは、状況が深刻化する前に専門家に相談し、選択肢を整理することです。

オフィスレナセルでは、借金問題を抱える中小企業経営者の方に向けて、銀行交渉や事業再生の伴走型支援を行っています。「連帯保証が不安」「会社の借金をどう整理すべきか」とお悩みの方は、お早めにご相談ください。

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本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の法的・会計的判断を保証するものではありません。連帯保証や相続放棄、事業再生の手続きにあたっては、必ず認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。