
会社の借金を整理する方法には、破産や民事再生のような「法的整理」のほかに、裁判所の手続きを最小限にして金融機関と話し合いで進める「私的整理」があります。その私的整理の代表的な枠組みが、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(私的整理ガイドライン)」と「特定調停スキーム」です。結論からお伝えすると、両者の大きな違いは裁判所が関与するかどうかにあります。この記事では、事業再生コンサルのオフィスレナセルが、2つの手続きの違いと、それぞれが向くケースをわかりやすく解説します。
そもそも私的整理とは?法的整理との違い
私的整理とは、破産や民事再生のように裁判所が主導する手続き(法的整理)ではなく、主に銀行などの金融機関と直接交渉し、返済条件の見直しや債務の一部免除などについて合意を目指す方法です。取引先や一般の債権者を巻き込まないため、事業への信用不安が広がりにくく、会社を続けながら再生を目指せるのが大きな特長です。
私的整理そのものの基本的な考え方は、私的整理とは?の記事もあわせてご覧ください。なお、私的整理には一定のルール(準則)に沿って進める「準則型私的整理」があり、今回紹介する2つの手続きもこれに含まれます。
私的整理ガイドライン(中小企業の事業再生等に関するガイドライン)とは
「私的整理ガイドライン」と呼ばれるもののうち、現在の中小企業の事業再生で中心となるのが、2022年4月から適用が始まった「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」です。これは、中小企業が金融機関と私的整理を進める際の手順や、関係者が果たすべき役割を定めた準則です。
手続きでは、中立的な立場の第三者支援専門家(弁護士・公認会計士など)が関与し、債務者が作成する事業再生計画について、対象となる債権者(主に金融機関)への調査・検証を行います。原則として対象債権者全員の同意によって計画が成立し、裁判所を介さずに進められるのが特徴です。
特定調停スキームとは
一方、特定調停スキームは、特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律・2000年施行)に基づき、簡易裁判所の「特定調停」という手続きを利用して債務を整理する方法です。日本弁護士連合会が事業者向けの利用の手引きを策定しており、事業再生型と廃業支援型があります。
特徴は、申立ての前に弁護士などの専門家が関与して再生計画案を準備し、裁判所の調停委員が債務者と債権者の間に入って合意形成を後押しする点です。調停が成立すると、裁判上の和解と同じ効力を持ちます。私的整理に近い柔軟さを持ちながら、簡易裁判所という公的な場を活用するのが、ガイドラインとの大きな違いです。
私的整理ガイドラインと特定調停スキームの主な違い
両者はどちらも、破産のように会社をたたむのではなく、金融機関を主な対象として、事業を続けながら債務を整理できる点では共通しています。主な違いを整理すると、次のとおりです。
① 裁判所が関与するか
私的整理ガイドラインは、裁判所を介さない純粋な私的整理です。一方、特定調停スキームは簡易裁判所の特定調停手続を利用するため、公的な手続きの枠組みの中で合意形成が進みます。これが両者を分ける最も大きなポイントです。
② 手続きを支える専門家
ガイドラインでは、中立的な第三者支援専門家が事業再生計画を調査・検証します。特定調停では、申立ての代理人となる弁護士が計画を準備し、裁判所の調停委員が当事者間の調整役を担います。
③ 向いているケース
どちらが適しているかは、債権者の数や関係性、経営者保証の整理の要否、合意形成の見通しなどによって異なります。一般的には、当事者間の話し合いで合意が見込める場合はガイドライン、第三者である裁判所の関与があったほうが調整を進めやすい場合は特定調停が選ばれることがあります。いずれにしても、実際の手続き選択には専門家による個別の判断が欠かせません。
自社に合った再生手法は専門家と一緒に|オフィスレナセル
私的整理ガイドラインも特定調停スキームも、いずれも専門的な知識と金融機関との交渉が欠かせません。自社にどの手法が合うかは、財務状況や債権者との関係によって変わります。公的な相談窓口としては、中小企業活性化協議会の記事で紹介した支援制度を入り口にする方法もあります。
オフィスレナセルは、事業再生コンサルティングとして、経営者の皆さまに寄り添いながら、最適な再生の道筋をご提案します。「うちの場合はどの方法が現実的なのか」とお悩みでしたら、まずはオフィスレナセルまでお気軽にご相談ください。
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の法的・会計的判断を保証するものではありません。実際の事業再生手続の選択にあたっては、必ず認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。


