
「もう会社をたたむしかない」と考えたとき、多くの経営者が「廃業」と「倒産」を同じ意味で使いがちです。しかし、この2つは意味も手続きもまったく異なります。廃業は経営者が自主的に事業をやめること、倒産は債務を支払えなくなり事業の継続が困難になった状態を指します。この違いを理解しないまま進めると、本来選べたはずの選択肢を見落としてしまうこともあります。この記事では、事業再生コンサルのオフィスレナセルが、廃業と倒産の違い、そして会社をたたむ際の解散・清算の基本を解説します。
廃業と倒産は何が違うのか
まず押さえておきたいのは、「倒産」という言葉は法律上の正式な用語ではない、という点です。一般的には、会社が債務超過や資金ショートによって支払いができなくなり、事業を続けることが困難になった状態を広く「倒産」と呼びます。
一方、廃業は、経営者が自らの意思で事業をやめることを指します。後継者がいない、経営者の高齢化といった理由で、借入れが少なく資産に余裕がある会社が黒字のうちにたたむケースもあり、必ずしも経営難が理由とは限りません。つまり、廃業は「自主的な選択」、倒産は「支払不能に陥った結果」という違いがあります。
会社をたたむ手続き=「解散」と「清算」
会社という法人を消滅させるには、「解散」と「清算」という2段階の手続きが必要です。
解散(会社法471条)
解散とは、会社の事業活動を止め、清算手続きへ移行するための区切りです。会社法471条は、株主総会の決議、定款で定めた存続期間の満了や解散事由の発生、合併による消滅、破産手続開始の決定、解散を命じる裁判などを解散の事由として定めています。自主的に会社をたたむ場合は、通常、株主総会の特別決議によって解散します。
清算(会社法475条〜)
解散した会社は、清算人が会社の財産を換価し、債権者への弁済を行ったうえで、残った財産を株主に分配します。この一連の手続きが清算です。裁判所の監督を受けない「通常清算」(会社法475条〜509条)は、債務をすべて弁済できる見込みがあることが前提になります。
債務を返しきれないときは?特別清算・破産
問題は、会社の資産よりも負債が多い「債務超過」の状態で会社をたたもうとする場合です。通常清算では債権者への弁済ができないため、別の手続きを検討することになります。
▶ 特別清算
債務超過の疑いがある場合などに、裁判所の監督下で行う清算手続きです(会社法510条〜)。株式会社が対象で、債権者との協定などを通じて清算を進めます。
▶ 破産
支払不能や債務超過に陥った会社について、裁判所が関与して財産を換価し、債権者に配当する手続きです(破産法)。いわゆる「倒産」の代表的な形の一つといえます。
このように、同じ「会社をたたむ」でも、債務を完済できるかどうかによって進む手続きが大きく変わります。民事再生と破産の違いについては民事再生と破産の違いもあわせてご覧ください。
「たたむ」前に、残す・再生する選択肢も
会社をたたむと決める前に、一度立ち止まって検討していただきたいのが、「事業を残す」選択肢です。会社に借入れがあっても、事業そのものに価値があれば、事業譲渡やM&Aによって事業を引き継ぎ、雇用や取引先を守れる可能性があります。
また、資金繰りが厳しくても、金融機関との交渉や私的整理を通じて再生を目指せるケースもあります。廃業や倒産という結論を出す前に、早めに専門家へ相談することで、選べる道が広がることは少なくありません。事業を残す方法については事業譲渡で借金を整理する|M&Aによる事業再生も参考になります。
会社の今後の判断は専門家とともに
廃業か、再生か、あるいはどの清算手続きを選ぶか——この判断は、会社の財務状況や債務の内容によって最適解が変わります。誤った手続きを選ぶと、経営者個人の保証や取引先への影響が大きくなることもあります。オフィスレナセルでは、中小企業の経営者に寄り添い、会社の状況を整理したうえで、たたむ・残す・再生するの選択肢をご一緒に検討しています。「もう手遅れかもしれない」と感じる前に、まずはお気軽にご相談ください。
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の法的・会計的判断を保証するものではありません。実際の会社の廃業・解散・清算や事業再生の検討にあたっては、必ず認定経営革新等支援機関の税理士・公認会計士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく判断によって生じたいかなる損害についても、当社は責任を負いかねます。


